ゆっくりとは死なせない

余りにもありきたりだけれど、こんなはずではなかった、などという言葉が一番しっくりとくるようだ。

世界に出て、教育を得て、訓練を積んで、何かを為す、いや、せめて自分の虚栄心を少しでも埋めるようなことだけは、そう頭の中で考えていたのだと思う。

 

しかし現実はずっと生々しくて残酷だ。

人間は環境の生き物であり、また、古くから言われているように、心は鉄のようなものだ。それは熱い内にしか新たな形を作ることはできず、また冷えた空気に晒されたならば、そう簡単にはもう以前の状態を取り戻せない。

 

ただ緩慢に日々は続き、あったはずの何かはゆっくりと死んでいく。

笑えるほど、あっさりとこの時間は過ぎ去ってしまうように思える。

ただ時間が過ぎるだけならまだいい。きっとこのままではこれは負債として残ってしまう。

 

その全てを受け入れた上で、歩き続ける理由がないことを認めた上で、

それでももう、目の前のものにただ全力を尽くす以外に、俺は道を知ることはないだろう。それでいいはずだ。

 

いつ終わるとも知れぬものに、馬鹿げた熱量をぶつけるのでなければ、男とは言えない。